「橋本聖子会長」誕生で露呈…組織委理事会は単なるお飾り
■3兆円の開催費用を切り盛り
組織委は五輪開催の準備・運営を監督する公益財団法人。3500人超の職員を抱え、会場の整備や大会スケジュール、スポンサー集め、チケット販売、感染症対策などを担う。五輪という一大国家プロジェクトの成否に関わる組織だ。
「3兆円とも4兆円ともいわれる巨額の五輪開催費用を切り盛りする役目を担っているにもかかわらず、その理事会がまったく機能していない。今回の一連の騒動で、いよいよそれを露呈してしまいました」
と、国士舘大非常勤講師でスポーツライターの津田俊樹氏が続ける。
「会長人事がこれだけ社会的関心事になっていながら、候補者検討委員会が推薦した橋本会長就任人事を追認しただけ。その候補者検討委員会の発足すら理事会には事前の了解がなかった。会長候補の推薦にしても、普通は少なくともAとBの複数候補が挙げられ、それを理事会で検討し、候補者を絞り込むという経緯があってしかるべきでしょう。橋本さんに一本化されたことに理事会から不満や批判が出て当然なのに、会議が紛糾したという話は聞こえてこない。『組織委員会の理事はお飾り』と言われても反論できません。森会長時代は完全なトップダウンで理事会での発言が許される雰囲気になかったと言われますが、その森会長が辞任した今回、組織委や理事会が正常な機能を取り戻すいい機会とすべきだったのに、これではそれを放棄したも同然です。トップが代わっても問題山積です」
そもそも、35人の理事の顔触れを見ても、どういう基準で選出されたのかさっぱり分からない、という名前もある。その責任の重さを考えれば、単なる名誉職、で片づけるわけにはいかない。