92年日本Sで西武・潮崎からサヨナラ弾 捕手の配球を読んだ
三振をしてベンチに戻ると、野村克也監督の“尋問”が始まる。
「何考えとる。三振の仕方が悪い。何を狙っていた? 根拠は何だ?」
追い込まれていたのに、なぜ変化球を待ったのか。相手の配球データを見て、ここは変化球しかないと確率の高い方に賭け、たまたま外れた。たとえ見逃し三振でも、投手の配球、球種を読み、ヤマを張ったが、結果としてその球ではなかった。そんな根拠があれば、怒られないこともある。しかし、根拠がなければ大変だ。
「ヤマ勘とヤマ張りは違うぞ。一流の投手が相手なら、狙い球を絞らないと、まず打てない。根拠に基づくものが、ヤマを張るということ。ヤマ勘とは違う。漫然と打席に入るな。『どうするか』を考えないヤツに『どうなるか』は見えないんだ」
最初は戸惑っていたナインにID野球が徐々に浸透していった。1991年に私は規定打席に到達し、打率・292をマークした。
■打席に入る前に相手の気持ちになって