92年日本Sで西武・潮崎からサヨナラ弾 捕手の配球を読んだ
「1年目に種をまき、2年目に水をやり、3年目に花を咲かせる」
野村監督就任3年目の92年、宣言通りにヤクルトは14年ぶりのリーグ優勝を果たした。
そして迎えた日本シリーズは、森祇晶監督率いる西武との対決が決まった。当時2年連続日本一。今のソフトバンクのように、圧倒的な強さを誇っていた。ヤクルトは「弱者の兵法」としてミーティングに時間をかけた。西武陣営を丸裸にしたが、敵の戦力は巨大だった。
野手陣は秋山幸二、オレステス・デストラーデ、清原和博、石毛宏典、伊東勤、辻発彦……。投手陣も渡辺久信、郭泰源、工藤公康、石井丈裕、渡辺智男ら、そうそうたる布陣。大方の予想は「ヤクルトの4連敗」だった。
しかし、第1戦を勝利したヤクルトは2勝3敗とし、第6戦(神宮)も同点で延長十回裏を迎える。私は代打として打席に向かった。マウンドには「魔球」シンカーを操る横手投げの守護神・潮崎哲也がいた。
「野村の教え」通り、打席に入る前に相手の気持ちになって考えた。