92年日本Sで西武・潮崎からサヨナラ弾 捕手の配球を読んだ
走者はいない。絶対に長打を打たれてはいけない場面だ。慎重な配球で際どいところを攻めてくる――。
直球、スライダー、直球、シンカーがきてカウント3―1。ボール先行の打者有利のカウントになった。
捕手の伊東の配球は、ボールが先行したカウントの時も、直球で簡単にストライクを取りにこないという傾向があった。「次は変化球がくる」とイメージが湧いた。すでに3ボール。シンカーは特殊球のため、コントロールするのは難しい。四球は出したくないだろう。答えはスライダーだ。
潮崎の5球目。まんまとスライダーが内角に入ってきた。体がうまく反応した。打球はライナーで右翼ポール際へ飛び込むサヨナラ本塁打となった。野村監督は私をベンチの前で最敬礼で迎えてくれた。
最終第7戦、それでも絶対王者は甘くなかった。