オリンピック開会式は中途半端な出し物ばかり…かつてないほどつまらなかった
全体として散漫で盛り上がりに欠け、身を乗り出して見たくなるものはひとつもない。中途半端な出し物ばかりを延々と見せられるのは苦痛だった。
「イマジン」は良かったが、世界の歌手に歌い継がせるのは古い。「ウィ・アー・ザ・ワールド」のパクリのようだ。
現在はジョン・レノンとオノ・ヨーコさんの共作とされているので、辛うじて日本人に関連してはいるのだが、肝心の歌詞の翻訳が画面に出なかった。「想像してごらん、国境も宗教も所有も存在しない、貧しさも飢えも必要ない、みんな兄弟同士で世界を分かち合っているんだから」というこの曲はベトナム戦争をやめさせ、数百万の命を救った反戦歌だ。その歌詞には政治批判とも受け取れる激しさがあるから流さなかったのか。
ラヴェルの「ボレロ」を聖火点火のシーンに使ったのも、よく分からなかった。恐らく別の楽曲を使うはずが、何かの事情で土壇場で差し替えたのではないか? どうせ使うなら、日本人の曲にしてほしかった。
ただ、MISIAの「君が代」はアバンギャルドなハーモニーを用いた編曲が奇抜だった。「『君が代』を冒涜(ぼうとく)している」と怒った人もいるかもしれないが、芸術表現に賛否両論あるのは西洋では当たり前だ。むしろ否定が多いのを良しとする気風がある。日本人があそこまでできたのは初めてだろう。世界が注視する中で披露したのは評価できる。