代走の切り札・植田海 高校の恩師は「最初のノック1球でレギュラー決定」
植田海(7年目・内野手・25歳)
「私たちの判断は正しかったのか。今でも考えることがあります」
こう語るのは植田が中学時代に所属した滋賀県南部の湖南市にある「湖南ビッグボーイズ」の代表、池元冨夫氏だ。
植田は無口な少年だった。入団当初はあまりにおとなしかったため、池元氏が「もっと頑張ってしゃべらんと」と助言したことも。それでも野球の実力はピカイチだった。これが池元氏が抱える後悔に結び付く。
「入ってきてすぐ、ウチの木元竜児監督が『この子は絶対にプロに行く。とんでもない子です』と言ってきました。ショートを任せていましたが、打球に対する反応が異様なくらい速かった。我々としては絶対に故障させずに上に送り出したいと。だから、世界少年野球大会の代表選考会や、滋賀県選抜にも、植田を推薦すらしなかったんです。我々の意図を本人に伝えていなかったので、今も不信感を抱いていると思います。結果的にケガなく卒団しましたが、かわいそうなことをしてしまいました……」
中学卒業後は山梨の日本航空高に進むも1年生の終わりに、部内のトラブルから地元・滋賀の近江高へ転校。当時、同校でコーチをしていた武田弘和現部長は、転校生の植田の人となりを見極めるため、ある試練を課した。