インディアンスが来季から「ガーディアンズ」に改称する背景
■アルカトラズ島での演説
今年1月に発足したバイデン政権では、内務長官のデブラ・ハーランドが先住民として初の閣僚となったことで、国内外の注目を集めた。そのハーランドは、今年の感謝祭に先立つ11月20日、カリフォルニア州アルカトラズ島で演説している。
1969年に先住民による権利回復運動のひとつとして起きたアルカトラズ島占拠事件の発生から52年を記念する式典で、ハーランドは先住民一人一人が出自に誇りを持てる社会を実現することの重要さを強調した。
多様性の尊重や人種差別主義の克服は、球界にとって選手や職員の国籍や人種の多様化によって実現すると思われるかもしれない。しかし、「先住民への敬意の表れ」という球団側の主張に対して、インディアンスやブレーブスといった愛称が「先住民を侮辱するもの」と批判されることは、依然として先住民を巡る問題への理解に隔たりがあることを示している。
インディアンスが来季から「ガーディアンズ」に改称するのは、こうした状況を踏まえたものだし、ハーランドが「好ましい、必要な変化」と発言したことも球界が米国社会の動向と密接に関わることを示している。
どのようにして多様性を確保し、社会に提示するかは、これからも球界にとって重要な課題であり続けるのである。