照ノ富士1強に“待った”かけたい貴景勝 千秋楽横綱戦を「理想の相撲」と言われた屈辱がバネ
「勝ち癖がついているのかと思った」
大胆不敵にもそう言ったのが、横綱照ノ富士(30)だ。
29日の優勝一夜明け会見。晴れ晴れとした表情で全勝優勝について語り、「これまではガムシャラだったけど、今は立場的な責任も感じるようになった」とも。一人横綱の重圧や責任感に押し潰されず、むしろ唯一の最高位になったことはプラスにも働きそうだ。
そんな照ノ富士の1強時代への「待った」が期待されているのが、大関貴景勝(25)だろう。
千秋楽では強烈な当たりで横綱を吹っ飛ばしながら、最後は押し出されて無念の黒星を喫した。
普段は勝っても負けても冷静な大関が、この日ばかりは花道を下がるときも顔をゆがませ、悔しさを隠そうともしなかった。
ところが、照ノ富士いわく、この一番は「理想の相撲」。相手に攻めさせて見せ場をつくり、それでも勝つという横綱相撲だった。
「おそらく貴景勝自身は千秋楽の一番を『惜しい相撲』と思っていただろうが、それを『理想の相撲』と言われては立場がない。ただ、貴景勝は人一倍負けず嫌いで根性も並じゃない。前に出る圧力をさらに強化し、横綱戦に限っては突き落としの使い方を工夫するなどすればチャンスもあります」(角界OB)
優勝決定戦を含め、対戦成績は大関の4勝5敗。照ノ富士1強時代にくさびを打てるだけのものはあるというのだが。