90年は巨人がぶっちぎりでセ連覇も 日本S直前に監督と投手陣で「報奨金騒動」が
さらに、現金ではなく、「金」で手渡される分もあった。私は延べ棒とコインをもらった。こんな「アメ」があるから、消化試合でも巨人ナインは勝ち続けられたのかもしれない。前に在籍した中日時代も「配当金」のようなものはあったが、人気球団の巨人は金額がケタ違いだった。
■「おまえらでこれを分けろ!」
しかし、この報奨金がチームを分裂させることになるとは……。日本シリーズ直前に藤田元司監督と投手陣の間でひと悶着あった。
ミーティングでシーズン中の報奨金が「野手より少ない」と投手陣が不満を訴えたのだ。怒った藤田監督は複数の主力投手を呼ぶと、こう言ったという。
「そんなことを言うなら、おまえらでこれを分けろ!」
普段は温厚だが、藤田監督には「瞬間湯沸かし器」の異名もあった。「特別監督賞」ということで“ドン”とテーブルに置いた金額は300万円だと後で聞いた。これはセ・リーグ最優秀監督賞の副賞だったそうだ。