A・バーティが電撃引退 …テニス女王の「次の夢へ」が新たな冷戦模様に重く響く
女子テニスのアシュリー・バーティが電撃引退した。
2019年の全仏、昨年のウィンブルドンに続き、今年の全豪では地元選手として44年ぶりに優勝。現役ナンバーワンの引退は2008年のジュスティーヌ・エナン以来で、エナンが肘の故障だったのに対し、25歳のバーティは「次の夢を追いたい。新たな人生を楽しみたい」と引退理由を語っている。
2014年秋から2年間テニスを離れ、プロのクリケット選手としてプレーしていた異色の経歴の持ち主で、その独特の姿勢にツアー内では驚きと納得が相半ばしている。
新型コロナ以降、テニス界では厳しい状況が続く。無観客規制が解けたかと思えば、全豪でジョコビッチが反ワクチンで国外追放に、中国の彭帥のSNSを巡って女子ツアーは中国から撤退し、ウクライナ侵攻後には国際テニス連盟がロシア、ベラルーシを国別対抗戦から排除。英国スポーツ相はウィンブルドンの出場条件に「反プーチン」の誓約書提出という踏み絵まで検討している。
他人事ではない。日本のエースの大坂なおみはコート上で人種差別反対の抗議行動をとり、昨年はメンタル障害を訴え会見拒否→ウィンブルドン欠場、最近も客のヤジで泣き出して惨敗……これに現役女王の引退が加わり、選手間にはこんな声もある。