巨人3位転落の元凶は原監督の“暴走采配”「発掘と育成」も口先だけでチームは崩壊寸前!
巨人の失速が始まった。
ゴールデンウイーク(GW)最後となった8日のヤクルト戦で、九回に守護神・大勢が打たれ、逆転負けでプロ初黒星。今季2度目の3タテを食らい、4連敗で3位に転落した。GWは1勝8敗。本拠地・東京ドームでも6連敗である。
その日、東京ドームがどよめいたのは1-1の五回だった。2死走者なしから、2番・青木に右翼フェンス上部のバーを直撃する二塁打を許すと、原辰徳監督(63)が投手交代を告げたのだ。
高橋は4回3分の2を4安打1失点3四球で降板。桑田真澄投手チーフコーチ(54)は「今日はもう絶対に落とせない試合ということで、監督が決断された。今日はいいボール投げていたし、もう少し投げさせてあげたかった。先発にとって4回3分の2で代えられるのは屈辱だし、いい球を投げていたので、もう少し信頼されて投げさせてもらえるような投球を続けていってもらいたい」とかばったものの、「(五回の)先頭打者の投手への四球というのがね」と原監督はバッサリだった。
「高橋本人も驚いた表情をしていたし、桑田コーチでも止められなかったのでしょう」と広島OBで投手コーチや編成部長などを歴任した川端順氏がこう言う。
■1対1の話ができているか
「降板が早いと感じましたね。高橋は昨年から制球力が課題といわれていた。さらに今季の巨人は与四球の数が多い(リーグワーストの132)。原監督には思うところがあったのでしょうが、高橋は昨年チーム勝ち頭(11勝)の投手。戸郷もそうですが、今後エース格に育つかは今年が大事なシーズンになる。ウリだった赤星、堀田らのフレッシュな開幕ローテもあっという間に解体されているし、高橋をあそこで降板させてしまっては、育つものも育たない。連戦の最終戦だったとはいえ、先発投手にはある程度の回数を投げてもらわないと、リリーフ陣に負担がかかってくるし、すでに疲労の色が見えます。それに原監督と桑田コーチのコメントがかみ合っていないのも気になります。聞いた話では、ヤクルトの高津監督はコーチ陣や選手と1対1の対話の機会を設けるのが上手だそうです。広島の佐々岡監督もそう。ただ、原監督は百戦錬磨の全権指揮官。一方でコーチ陣は若い。チームが窮地に陥れば、体制的に監督が独断で決めてしまいがち。巨人は今、コミュニケーションがうまくとれていないのかもしれません」
原監督は今季3人のチーフコーチ制を敷いている。特に「モノ申せる」コーチとして投手陣の期待が大きかったのが桑田コーチだった。しかし、「元木ヘッドや阿部コーチはまだしも、大事な投手担当の桑田コーチは開幕後は原監督に何も言わないみたい」とは、さるチーム関係者だ。
4月29日からGW中、先発投手は9人が投げて1勝6敗。そのうち5人が5回未満で降板した。この分は当然、リリーフ陣にしわ寄せがくる。防御率は先発の3.50に対し、救援はジワジワと悪化してリーグ4位の3.74。エースの菅野が右肘を痛めて離脱するなど、ただでさえ苦しい台所事情は、原監督の起用によって投手陣全体に負荷がかかっている。リリーフ陣も崩壊しそうな雲行きになってきたうえ、独断による早めの継投は若手投手の一本立ちを阻害することにもなりかねない。
育成とは「教えることより使うこと」
これは野手陣にも言える。原監督は今季、「発掘と育成」を旗印にFA補強を封印した。ただ、新外国人選手を4人も獲得し、支配下だけで8人の大所帯。特に左翼を守るウォーカーの超弱肩はすでに各球団に知れ渡っているものの、それでも目をつぶって起用していることで、若手や中堅の出番は守備固めや代走くらい、というのが現状だ。
5年目の昨季、135試合に出場し、打率.274、12本塁打、37打点で球団の育成出身選手では初の規定打席到達と2ケタ本塁打を達成、背番号が「9」に変わった松原は、右翼と左翼に入る新助っ人にはじき出され、ここまでスタメン出場はわずか7試合。29試合で打率.150と低迷し、8日に二軍に降格した。
■主力故障者の穴を埋めるのは二軍のベテラン
前出の川端氏がこう言った。
「選手を育てるという考え方が巨人とは違う広島に長く在籍した身として言わせてもらうと、育成とは教えることではなく、出場機会を与えることだと思います。つまり、試合で使うこと。野手なら打席数を与え、見守ること。先ほどの投手の高橋と同じことが言えますが、松原はもったいないと思っていました。せっかく昨年足がかりをつかんでも、今年使われなければ大きく育ちません。あの鈴木誠也だって使い続けた上で才能が開花したのですから」
結局、今回の「育成」も掛け声だけ。10日に一軍昇格する中田をはじめ、山口、ウィーラー、井納といった補強組の高年俸選手がダブつく二軍はもっか好調だ。
「相手の立場からすると、今年の中田より松原の方が嫌。坂本、吉川ら主力の故障者の穴を埋めるのが二軍のベテランになるとすれば、巨人は変わっていないと言われても仕方ありません」(川端氏)
これのどこが「発掘と育成」か──。他球団は原監督のやり方を冷ややかに見ている。