日本ハム新庄監督がトレードで狙う「3人の名前」 選手評価も終わり補強ポイント見えた
「どんどんトレードできたら。7対7くらいの」
日本ハムの新庄剛志監督(50)は先日、「おれが決めることじゃないけど、案は出す」と、大胆かつ積極的なトレード案を明かした。
開幕から1カ月半が経過。「今年1年はトライアウト」と目先の勝利にこだわらず、来季以降を見据えて選手の育成に注力しているが、6日の西武戦に敗れ、球団史上最速となる33試合目で自力優勝の可能性が消滅。8日の西武戦にも敗れ、チームは11勝24敗の借金13となった。「新庄監督がトレードに意欲を燃やすのは、チーム事情ともリンクしている」とは、球団OB。
■評価はおおむね終了
「選手の成長は垣間見えますが、その一方で投手、野手を合わせた67人の支配下枠の中で、故障者や高卒新人を除いて一度も一軍起用していないのは、投手では福田、鈴木、柿木、ロドリゲスの4人。野手では高浜、石川亮の2人だけ。すでにほとんどの選手を試し終えているのが実情。役割やポジションの適性はこれからも見極めていくのでしょうが、選手の評価はおおむね終わっているともっぱらだし、選手層の薄さも痛感している。しかも、若手を中心に積極起用している分、出場機会が限られたり、成績を落としたりする中堅、ベテラン勢は減俸必至。オフにクビになる選手も出てくる。チームに新しい風を吹かせるためにも、トレードが必要だと考えているようです」
では、新庄監督の意中の選手は誰なのか。昨年末には、制球難で苦しむ阪神の藤浪晋太郎(28)について、「欲しいのは阪神の藤浪君。俺のところに来たら化ける」と発言。獲得を熱望していた。
■ベストナイン捕手
そんな中、目玉候補と言われているのがロッテの元正捕手・田村龍弘(27)だという。
田村は2016年にベストナインを獲得、18年には全143試合に出場するも、近年は故障も重なり出場機会が減っていた。
「これに追い打ちをかけたのがドラフト1位で入団した松川虎生(18)の存在です。18歳とは思えない冷静なプレーもあり、井口監督はオープン戦終盤に開幕一軍入りを明言。開幕マスクをかぶり、高卒新人捕手として67年ぶりに開幕勝利を挙げ、佐々木朗とのコンビでは完全試合も経験した。田村が正捕手に復帰するのは難しい。もともと田村は現首脳陣の評価が芳しくなかったこともあり、今季は一軍出場ゼロ。2番手捕手も、強肩の佐藤が重用されている。一方の日本ハムは捕手不足が課題。現時点では宇佐見が一歩リードしていますが、経験豊富な田村であれば、正捕手を奪える実力があるとみているようです」(前出のOB)
12球団ワーストのチーム防御率4.15と苦しむ投手陣も大きな補強ポイントだ。
「ソフトバンクのリリーフ右腕・高橋純平(25)は視野に入っているようです」とは、パ球団編成関係者。
「今年のキャンプでは一軍に該当するA組入りしたものの、開幕一軍メンバーから外れ、今季は一度も一軍で投げていない。ただでさえソフトバンクの救援陣はFAで加入した又吉、モイネロ、森ら12球団屈指。高橋がその中に割って入るのは簡単ではない。15年ドラフト1位で入団し、19年に45試合登板で17ホールド、防御率2.65の好成績をマーク。昨季も10試合登板ながら、自責ゼロで防御率0.00と絶好調だった。しかし、5月に右手を骨折して離脱。以降、なかなか調子が上がってこないですが、日本ハムでは大いに戦力になるでしょう。日本ハムはこの高橋を15年ドラフトで1位指名したように、以前から、高く評価をしています」
札幌に来たらチャンス増
外野手では、俊足と好守を兼ね備える広島の野間峻祥(29)が、新庄監督のお眼鏡にかないそうだという。
「14年ドラフト1位で入団も、自己最多出場は1年目の127試合。伸び悩んでいる上に、本職の中堅は西川が不動のレギュラーで、左翼と右翼は、堂林、末包、中村健らが熾烈なレギュラー争いを繰り広げている。野間は今や、蚊帳の外といった感がある。身体能力が高く、環境が変われば化ける可能性を秘めている。まして新庄監督は足と肩が強い選手を好み、『足の速い選手がここ(札幌ドーム)に来たら守備範囲が広く、(レギュラーを)掴めるチャンスが増える』とも言っている。主砲の近藤が右内腹斜筋肉離れで長期離脱する中、うってつけの選手といっていい」
今年のトレード期限は7月31日。名前を挙げた3選手を獲得するためには、日本ハムとしてもある程度の出血を覚悟しなければいけないが、突然の仰天トレード案をぶち上げたウラには、意中の選手が存在するともっぱらだ。