森保ジャパン「控え組」底上げの成否…主軸温存しパラグアイ戦4-1快勝でハッキリ

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 2日のパラグアイ戦(札幌)を皮切りに6日のブラジル戦(国立)など代表4連戦に臨む森保ジャパン。注目カードのブラジル戦に向けて主軸を温存し、パラグアイ戦の出場選手は控え組が大半を占めた。試合前日に森保監督が「試合に多くの選手を使い、いろいろなシステムを試したい」と話していたが、指揮官の「控え組をシビアに見極めたい」という意図が見え隠れする。

 カタールW杯最終予選の途中から冷や飯を食わされた2選手は、明暗がクッキリと分かれた。

 最終予選3月ラウンドの2試合を招集外となったFW堂安律(代表出場22試合=23)は相手にボールを奪われるシーンも目立ち、何度か決定機をフイにして後半24分にはPKをGKにセーブされた。そのコボレ球に反応した右SB山根視来(8試合=28)のシュートは、ゴールの枠を大きく外れてしまった。

「堂安は持ち味をフルに発揮しようと何度もドリブル突破を試み、相手選手の脅威にもなっていたが、PKのミスもあって結果を出せず、アピールできなかったのは残念だった」とはメキシコ五輪得点王の釜本邦茂氏。

 最終予選途中から3試合連続ベンチ、残り4試合招集外と戦力外同然の扱いを受けたFW鎌田大地(16試合=25)は、インサイドハーフの位置から攻守に好アピール。前半42分には、自身代表5得点目となるシュートをヘディングで決めた。

「今季欧州EL優勝の立役者のひとりとなった鎌田はこの日、沈着冷静なプレーで代表に不可欠な選手であることを証明した」(釜本氏)

 左SBで先発したDF伊藤洋輝(23)はパラグアイ戦で代表デビューを果たし、前半は左MFで先発した三笘薫(3試合=25)との連係で攻撃面でもアピール。後半からはハーフタイムで退いたDF吉田麻也(115試合=33)に代わってCBに入り、ソツのないプレーを見せていた。

 しかし、後半14分にミスキックから相手にパスを送る大失態。その流れからシュート体勢に入った相手のフェイントにDF谷口彰悟(8試合=30)が簡単にかわされてしまい、強烈なシュートで失点を食らった。

「守備の選手として厳に慎まないといけないプレー。しっかりと反省して次に生かして欲しい」とは前出の釜本氏だ。

レギュラー陣の尻に火を点けたのか

「パラグアイ戦で序列を確実に下げた攻撃系選手が2人いました」と元サッカーダイジェスト編集長の六川亨氏が言う。

「右サイドMFの久保建英(15試合=20)は残り20分ほどの限られた時間だったとはいえ、存在感を発揮できなかった。20歳なのにマジョルカでも代表でも動きにフレッシュさがなく、相手選手を抜ききれないシーンが目立つ。右サイドMFには33試合・9得点のMF伊東純也(29)という絶対的な存在がいるが、この日のパフォーマンスで久保は、右サイドを主戦場とする選手の中で序列を下げることになった」

 もう一人は、後半から投入された前田大然(4試合=24)である。

「1トップで先発して前半36分に代表7得点目を決めたFW浅野拓磨(34試合=27)に代わって登場したが、再三の決定機でことごとく外してしまった。今回はケガで外れたが、代表には不動の1トップとして57試合・25得点の大迫勇也(32)もいる。前田は、1トップのレギュラー争いで後退してしまった」(六川氏)

 森保ジャパンは、11月21日開幕のカタールW杯に出場する。1998年仏大会から7大会連続出場で桧舞台に駒を進めたわけだが、グループリーグで対戦する相手のグレードの高さは、過去6大会の比ではない。

「W杯優勝経験のある2カ国と同居した」日本代表は大会3日目にドイツと戦い、3戦目にはスペインと真っ向勝負。そんな「死の組」で森保ジャパンが決勝トーナメントに進むには、かなりのレベルアップを図らないと赤っ恥をかかされる。

 そうならないためには、控え選手の底上げを図り、レギュラー陣の尻に火を付けて、チーム全体を活性化させながら日本代表を強くしていくしかない。

 パラグアイは「英プレミアでプレーする背番号10のアルミロン以外は国際レベルに達していない選手ばかり」(釜本氏)
だった。そんな相手にほとんどの控え組が及第点を付けられないようでは……。

 森保ジャパンの前途は多難である。

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