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阿波野秀幸元プロ野球選手

1964年7月28日、神奈川県生まれ。桜丘高、亜大を経て、86年のドラフト1位で巨人、大洋(現DeNA)を含めた3球団競合の末、近鉄に入団。87年、新人王、89年は19勝(8敗)、183奪三振で最多勝と最多奪三振のタイトルを獲得。その後、巨人、横浜でプレー、通算75勝68敗5セーブ。引退後は巨人、横浜、住友金属鹿島、中日などでコーチを務めた。

「アンタがしっかりせんと上に行けないよ」仰木監督の言葉は重く励みになった

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「左肘内側側副靱帯損傷」──。

 1991年5月、左肘痛で戦列を離脱、医師の診断結果がこれだった。

 いまなら、靱帯を修復するトミー・ジョン手術だろうが、当時のプロ野球界ではまだ、一般的ではなかった。ロッテの村田兆治さんがこの手術を経験したものの、復活には相当な苦労があったようだし、リハビリの技術もいまほど発達していなかった。

 近鉄には当時、最新のトレーニング理論などを学んだコンディショニングコーチの立花龍司がいた。彼に手術をせずになんとかならないかと相談したところ、こういう形があるとプランを出してくれた。それは周囲の筋肉を鍛えて靱帯をサポートしていくというものだった。

 とりあえず、炎症が取れるまではアイシングをして、安静に近い状態を保つ。炎症が治まってから、トレーニングによって靱帯の周りの筋肉を鍛えることになった。

 あれはファームで治療とリハビリをしている最中、藤井寺球場でのことだ。

 近鉄は一軍も二軍も本拠地が藤井寺球場だったため、雨で日程がズレたか、一、二軍が重なるときがあった。室内練習場に向かう通路で、仰木監督とすれ違ったときに声をかけられた。

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