ロシアとウクライナのはざまで揺れるIOCの苦悩 バッハ会長の手紙につづられていたジレンマ
国際オリンピック委員会(IOC)が1月25日に声明を出した。ウクライナとの連帯、オリンピック休戦を破ったロシアとベラルーシへの制裁、そして同国選手の立場について、IOC理事会がまとめた形だ。
■ロシア選手の五輪復帰を検討すると声明を出したIOCだが…
衆目が集まったのはロシアの選手がパリ五輪に出ることができるかどうかだった。来夏に迫るパリ五輪の予選は始まりつつあり、もしロシアとベラルーシの選手に門戸を開くとしたら、このタイミングでIOCは決心を表明する必要があったのである。
昨年、北京五輪終了直後にロシアがウクライナに侵攻したことで、IOCは隘路に陥った。スポーツで世界平和構築を唱えるオリンピズムに真っ向挑んだロシアに対する制裁は必然でも、その国の選手たちのオリンピックへの道を閉ざすことはオリンピズムに反する。しかし、現実に試合会場でロシアとウクライナの選手が戦うとすれば、戦時下では戦う相手国を強烈に意識せざるを得ない。背後に戦火で失われた友人が見えたりするだろう。IOCは国際競技連盟に対して、主催大会にロシアとベラルーシの選手を参加させない要請をしていた。