横綱・照ノ富士が4場所連続休場から復帰…元大関・正代に辛勝発進は吉か凶か
大歓声が悲鳴に変わりかけた。
途中休場した昨年9月場所以来、4場所ぶりに出場した横綱照ノ富士(31)。満員の観衆の前で横綱土俵入りを披露し、結びの一番で元大関の正代と激突した。
が、立ち合いで簡単に吹っ飛ばされると、あっという間に土俵際。ファンの悲鳴が上がる中、右差しからのすくい投げでなんとか正代を下した。
支度部屋では「立ち合いであまり当たれてなかった感じがした」と、反省の弁を述べた横綱。両ひざにバクダンを抱えており、全盛期のような粘り、踏ん張りが利かないのは周知の事実。嫌な予感を覚えたファンも少なくないだろう。
それでも協会内からは「問題なし」、あるいは「今日ばかりは仕方ない」という声が上がっている。親方のひとりは「久々の本場所で、相撲勘が戻っていないのもあるだろうけど……」と、こう続ける。
■下半身の粘りも心配ない
「きょうの正代は踏み込みの鋭さ、当たりの強さともに百点満点の立ち合いでしたからね。状態が良く、迷いもない正代の当たりをこらえられる力士なんて、今の土俵にいませんよ。ただ、攻め急いで詰めが甘くなった。その隙を見逃さなかった照ノ富士の冷静さと機転を評価すべきです。特に土壇場で右を差したあたりは、精神的な余裕も感じられた。下半身の粘りについても心配はない。本当に踏ん張りが利かなければ、最後の投げすら打てなかったはずですから」
初日は大関とりを狙う霧馬山と大栄翔、返り入幕の元大関・朝乃山ら、注目力士が揃って白星。熾烈な賜杯レースの始まりだ。