伯桜鵬哲也「令和の怪物」の落とし穴…相撲技術はベテラン並みもパワー不足がネック
伯桜鵬哲也(19歳・宮城野部屋・前頭17枚目)
名前を聞いてピンとこなくても、改名前の「落合」のしこ名を聞けば思い当たるファンも多いのではないか。
相撲強豪校の鳥取城北2、3年時に高校横綱に輝き、学生・社会人関係なく相撲日本一を決める全日本選手権では8位。高校卒業後はすぐに入門せず、肩の手術を優先し、実業団を選択。そこでも実業団横綱に輝き、幕下15枚目格付け出しを獲得し、今年から元横綱白鵬率いる宮城野部屋に入門した。
1月場所は幕下で全勝優勝して新十両昇進。幕下付け出しで入門した力士が所要1場所で十両昇進は史上初の快挙だ。さらに十両も2場所で通過。新入幕の名古屋場所は昨10日、輝を寄り切って2連勝とし、テレビ解説を務めた舞の海氏も「相撲がうまい。優勝争いに絡んでくる可能性は十分にある」と感心しきりだった。「令和の怪物」の名に恥じない相撲ぶりである。
しかし、試練はここからだ。角界OBは「伯桜鵬の相撲技術はベテラン並み」と、こう続ける。
「組んでよし、離れてよし。四つ相撲も押し相撲もいけるし、得意の左四つになれなかったら二の矢、三の矢と次々に仕掛ける引き出しの多さも驚異的です。ただし、大相撲は決して『うまい=強い』ではない。伯桜鵬は幕内でも最初は通用するだろうが、慣れられるとどうか。彼の唯一にして最大の欠点が、パワー不足です。特に立ち合いの当たりはお世辞にも強いとは言えず、現状は並以下と言わざるを得ない。これでは、常に立ち合いで先手を取られ続けてしまう。こうしたうまいだけの力士は上位陣にとっては、さほど怖い相手ではない。同じ新入幕で当たりが強烈な豪ノ山の方が、よほど怖いですよ」