創成館・稙田龍生監督は元バリバリの営業マン 給与ダウンでも“職業監督”に転身した理由
「それは下がりましたけど寮で食事も用意してもらいました。なにより、夢でしたから。悩みませんでしたね。また、一回も甲子園に行ったことのないチームでイチから野球部をつくり上げることに魅力を感じました。それで勝負に出た形です」
──自信があった。
「強い学校にする自信はそこそこありました。どんな練習をどのくらいやらせればいいのか、とか。でも、実際は勝負に勝てるかどうか、甲子園に行けるかどうかはまた別の話。『強い=甲子園に行ける』じゃない。野球っていうのは番狂わせも多いスポーツですし、相手もいます。勝負に関しては不確定要素が多いですからね」
■選手に失言があったら即座に謝る
──強いチームをつくるために、心理カウンセラーの資格を取ったとか。
「取ってからは、選手を叱らなくなりました。私もなるべく感情で叱らないように。まぁ、44歳まで社会人野球をしていたから、選手を抑えつけるような指導はもともとしていませんでした。私生活は厳しく注意しますが、野球はのびのびさせています。計10人のコーチたちには『語彙力を鍛えなさい』と言っています。たとえば選手にカチンときたとして、感情を押し出して叱ったら、相手も感情的なリアクションしかしません。それでは意味がない。指導者は意図を言葉で正しく伝えられるように、あるべきです。仮に選手への失言があった場合は即座に謝ることも徹底させています。相手が子供とか関係ありません」