慶応ブランド上等! 全国の野球学校は「高校野球の常識」を覆されて黙っちゃいない

公開日: 更新日:

他の追随許さないブランド力

 アマチュア野球に詳しいスポーツライターの美山和也氏もこう言った。

「慶応に“高校野球の常識”を変えられて真っ青なのは、野球学校でしょう。強豪校がこれまでにやってきたことが、慶応の優勝によって、ほとんど否定されたことになるからです。今大会は慶応ボーイズのサラサラヘアが話題になった。『髪形自由』という高校がだいぶ増えたとはいえ、まだまだ丸刈りが強制されている。慶応は基本的には自宅からの『通い』なので、選手を寮に入れて朝から晩まで管理するというやり方にも否定的。選手の自主性が重んじられる練習は合理的に短時間集中。強豪校では当たり前の特待生制度もありません。そういった学校が甲子園で頂点に立ったのですから、野球学校は忸怩たる思いでしょう」

 神奈川大会決勝で慶応と激戦を演じたライバル横浜の元部長で、現在は同校の臨時コーチを務める小倉清一郎氏は、日刊ゲンダイのコラムでこう語っている。

「横浜の部長時代、慶応と同じ中学生を勧誘に行くと、まず断られました。こっちは『甲子園』や『プロ』を売り言葉にするけど、慶応は『慶大に行って神宮でプレーしよう』と言う。慶応のブランド力には、それだけの威力があります」

 前出の元永氏も指摘したように、慶応は野球学校が狙うトップクラスの選手を「ブランド力」で引き入れていることになる。

■近畿の強豪校は東京にも触手

 こうなった以上、野球学校も慶応のやり方に追随するのか。「高校野球の新しい姿につながる」ことはあるのか。前出の美山氏がこう言う。

「答えはノーだと思います。ほぼ全員がエスカレーターで慶大に進学できる慶応の選手と野球学校の選手とでは、置かれた境遇が違い過ぎるからです。少子化の今、どこの私学も経営は苦しい。野球学校は野球の結果で名前を売るしかない。選手たちも野球で認められて大学やプロといった進路を切り開かないといけないケースがほとんど。慶応のマネをしたくてもできません。野球学校は今後、以前にも増して選手をかき集めるだろうし、さらに選手を練習漬けにして慶応を倒そうとするでしょう。今回は出ていないけど、大阪桐蔭や智弁和歌山といった日本を代表する野球学校が、これまで手を伸ばしてこなかった関東や東京の有望中学生を入学させるようになっている。慶応の森林監督が高校野球の古い体質に一石を投じたのは確かだけど、野球学校はむしろ慶応とは逆の方向へ進んでいくと思います」

 野球学校の逆襲が始まる──。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 4

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  5. 5

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  1. 6

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  2. 7

    TKO木下隆行が性加害を正式謝罪も…“ペットボトルキャラで復活”を後押ししてきたテレビ局の異常

  3. 8

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  4. 9

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 10

    松たか子と"18歳差共演"SixTONES松村北斗の評価爆騰がり 映画『ファーストキス 1ST KISS』興収14億円予想のヒット