MGCでパリ五輪代表切符つかんだ一山麻緒を指導 永山忠幸監督「切実な要望」ここが〇と×
苦言は大歓迎だという。
15日に行われたパリ五輪代表選考会のマラソングランドチャンピオンシップ(MGC)。女子の2位で代表切符を手にした一山麻緒(26=資生堂)を指導する永山忠幸監督(63)がレース後の会見で、陸連の瀬古利彦ロードランニングコミッションリーダーからこんな質問を受けた。
「女子も2時間11分、13分と凄い記録になっている。その記録に対してどう思いますか」
永山監督はこう答えた。
「今は日本記録(2時間19分12秒)のための練習をやっている。(1km)3分20秒ですから、そのタイムではなく、3分15秒のペースで楽に走り切る走力が必要だと思います。それともう少しハングリーな環境を求めるべきだと思う」
今年1月のヒューストンマラソンで新谷仁美(35=積水化学)が2時間19分(24秒)台を記録したのは、2005年の野口みずき以来となる18年ぶりのこと。国内女子マラソンには19分の厚い壁があり、2時間13分、11分と言われてもピンとこないのが現実だろう。
永山監督はその後、報道陣を前に「異例のお願い」をした。
「報道陣の方たちにお願いしたいのは、今回(のMGC)は通過点の大会であって、もっともっと上を目指すならば、我々に対しても厳しいコメントを頂きたい。そういう部分の中で我々は成長したい」
確かに、国内のマスコミはマラソンに甘い。女子でいえば、大阪国際、東京、名古屋ウィメンズなどは大手の新聞やスポーツ新聞が主催や共催、後援として関わっている。
「日本記録を破るためのペースメーカー(PM)主導のレースばかりやっているから、まったく世界に目が向いていない」といった論調の記事など見たことがない。
かつては、有森裕子が92年バルセロナ五輪銀、96年アトランタ大会銅、高橋尚子は2000年シドニー大会金、野口みずきは04年アテネ大会金で日本中を沸かせた。そんなマラソン王国が、なぜここまで衰退したのか、18年も2時間19分台が破れなかったのはどこに原因があるのか。毎年訪れるマラソンシーズンになっても、大新聞やテレビはその疑問に答えてくれない。