武漢三鎮足球倶楽部 質が上がったのに超級リーグ7位に終わった要因
ACL浦和戦編(2)
2023年の6月から、中国の超級(1部)リーグ所属の「武漢三鎮足球倶楽部(湖北省武漢市)」のヘッドコーチとして働いています。
今シーズンは、12月6日のアジアチャンピオンズリーグ(ACL)のグループリーグ(GL)・ホームでの浦項スティーラース(韓国)との一戦で全日程を終えました。
11月29日には、浦和と埼スタで対戦しました。残念ながらGLは最下位に終わって突破できませんでした。
年末年始は日本で過ごし、来季に向けて英気を養っているところです。
武漢は、2023年シーズンの超級リーグを戦って中位の7位(全16チーム)でした。
超級リーグに初昇格した昨シーズンは、当時ヘッドコーチを務めていた「山東泰山足球倶楽部(山東省済南市)との優勝争いを制し、超級リーグ1年目で初優勝という快挙をやってのけました。
しかしながら、今季は圧倒的な資金力を誇る強豪チームに置いていかれてしまいました。
が、フィジカルに頼ってばかりのサッカーではなく、丁寧なパス交換から攻守をきちんと組み立てられるようになり、サッカーの質そのものは、着実に向上したと思います。
質が上がっても超級で7位に終わった要因
しかし、なかなか結果に繋がらなかった。個人的には、過去2年間で3つのタイトルを獲っていたこともあり、非常に残念なシーズンでした。
もちろん山東時代とは選手もスタッフも違うのですが、何よりも「ここぞという試合」で勝ち点をしっかりと積み上げるということができなかったことが、7位に終わった要因と思います。
上海海港の後塵を拝して2位に終わった山東の場合、韓国人指揮官のチェ・ガンヒ監督が就任すると、一気にフィジカルを生かした縦に速いサッカーに変わりました。
このダイナミックな変化というのが、いかにも中国的だと思います。
ともあれ、中国の国内リーグで勝とうと思ったら、資金力を生かしてフィジカル能力の高い選手をかき集め、シンプルな戦術で「勝ちに行く」のが早道となります。
ですが、国際試合になると対戦相手にフィジカルで劣勢に回ることが多くなり、そうなると勝利が遠ざかってしまいます。
これこそが、中国のチームが直面している懸案事項と言っていいでしょう。
中国では、もちろんサッカーもそうですが、プラス面とマイナス面が「表裏一体の関係にある」ことを実感させられることが少なくありません。