著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

大谷翔平とドジャース「能登半島地震への素早い対応」が示す日米の文化の差異

公開日: 更新日:

 最近では、新型コロナウイルス感染症が問題化しつつあった20年2月にビル・ゲイツらが自らの財団を通して関係機関に1億ドル(当時のレートで約110億円)の寄付を行ったことなどが記憶に新しい。

 今年1月1日に能登半島地震が起きると、大谷翔平は昨年末に移籍したドジャースと共同で100万ドルを超える寄付を被災地に対して行った。

 プロスポーツ史上最高の10年7億ドル(約1015億円)の契約を交わした大谷であれば、100万ドルはわずかな金額と思われるかもしれない。

 しかし、自分の寄付の一報が他の人たちの注意を引きつけ、多くの人が寄付する環境を整える役割を果たすことを重視するという、米国の寄付のあり方に根差したものだった。

 そこへいくと日本は例えば巨人が1000万円を寄付したのは素早い対応で、NPBは仕事始めになってからコミッショナーの榊原定征氏が義援金の検討を表明するにとどまるなど、事態を静観している感は否めない。

 今回の出来事は、良し悪しの問題ではなく、日米の著名人による寄付が持つ社会的な機能の違いを示唆している。


●前回【大谷も選んだ後払い、寄付、旅行…超高給メジャーリーガーが腐心「節税策」あの手この手】も、大谷ファン、野球ファンなら必読だ。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…