来年引退決断の柔道ウルフ・アロン「『心残りはある』って言ってしまったんですけど、『やっぱりねえな』と(笑)」
ウルフ・アロン(28)柔道団体銀メダル 男子100キロ級【第1回/全3回】
2021年東京五輪からの連覇を狙った男子100キロ級の個人戦は敗者復活戦で敗れたものの、男女混合団体戦では銀メダル獲得に貢献した。帰国後はメディアに引っ張りダコ。持ち前のトーク力で注目を集め、話題をさらうウルフ・アロンが、パリ大会に挑むまでの覚悟と引退決断、“弟分”の100キロ超級・斉藤立(22)との秘話、騒動になった「誤審」「不可解判定」などについて3回にわたり、語り尽くした。【第1回/全3回】
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──パリ五輪後はメディアに引っ張りダコ。帰国時の「チームジャパン会見」では「本日は私のためにこのような会を開いていただき、誠にありがとうございます」と話して笑いを取りました。
「個人戦ではメダルを取れなかったので、何とか爪痕を残したいという感じです(笑)」
──東京からパリまでの3年間は勝てない時期も。
「負け続けることで気持ちが折れそうになったり、やめたいって気持ちになったこともあります。でも、負けるのが嫌だって気持ちがまだ自分の中にあった。やめるタイミングはいくらでもあったと思うんですけど、柔道自体はずっと好きですし、今年に入っても100キロ級の代表が決まらなかったことも、パリへのモチベーションの一つになりました」
──今年2月のグランドスラム・パリで優勝して代表の座を勝ち取りましたが、五輪はパリが最後と決めていたそうですね。
「まだやれるだろ、と言ってくれる人もいると思いますけど、勝ちたい、負けたくない、って気持ちはある一方で、パリからロスまでの4年間をやれるだけの気持ちがあるのかなと思ったときに、もうないなと。いろんな引き際はあると思います。何回も何回も試合に出て負け続け、無理だって思ってやめる選手もいるだろうし、大事な試合で勝って終わるっていうのもあるだろうし。たとえば(同じ100キロ級の)穴井隆将さんは(2013年に)全日本選手権を勝って引退しました。僕はここで終わり、と決めたほうがモチベーションが上がるタイプ。終わりがあるから頑張れるのはあると思います」
──4年後のロス五輪で100キロ超級にチャレンジしたい、と話したこともありました。
「ありましたね……。ただ、今はもうその気持ちはないですね。テレビ番組では団体が銀で終わったので、『ロスでリベンジしたい』という感じの発言をしたんですけど、僕がロスに出るという意味ではなくて、あくまで日本代表としての話。言い方を間違えてしまったので、この場をお借りして訂正させていただきます(笑)」