柔道ウルフ・アロンが“弟分”斉藤立を語る「仏リネール選手はタツルに持たれることを恐れていた」
ウルフ・アロン(28)柔道団体銀メダル 男子100キロ級【第2回/全3回】
2021年東京五輪からの連覇を狙った男子100キロ級の個人戦は敗者復活戦で敗れたものの、男女混合団体戦では銀メダル獲得に貢献した。帰国後はメディアに引っ張りダコ。持ち前のトーク力で注目を集め、話題をさらうウルフ・アロンが、パリ大会に挑むまでの覚悟と引退決断、“弟分”の100キロ超級・斉藤立(22)との秘話、騒動になった「誤審」「不可解判定」などについて3回にわたり、語り尽くした。
第2回は階級が近く、普段から接する時間が長かった男子100キロ超級の斉藤立(22)の実力と素顔に加え、東京大会からの連覇が期待されながら、女子52キロ級で2回戦敗退後に大号泣した阿部詩(24)について──。
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──斉藤立選手は個人戦5位、団体戦で1試合も勝てず、「日本に帰れるのか」「(代表監督の鈴木)桂治先生から『ここで死ね、死ぬ気でやるんだ』と言われたが、本当に悔いが残る試合」などと思い詰めた表情で大粒の涙を流しました。階級が近く、パリ行きの飛行機が同じで、一緒にいる時間が長かったと思いますが、普段はどんな性格ですか?
「優しい子です。それこそ自分が一番悔しい気持ちがあるのに、まず周りに対してコメントする。日本に帰れない、応援してくれたみんなに申し訳ないと。僕はもっともっと自分のためにやっていいんじゃないかって思います。そのことは結構、タツルにも言っているんですけど、どうしても最初に謝罪の言葉が出てくる。そんな選手です」
──会見では同席した斉藤選手をイジったり、弟のような存在に見える。
「普段から何げない話もしますし、明るいところもあります」
──父親の斉藤仁さんが五輪2連覇のレジェンド。息子である斉藤選手への期待、注目度は高かった。
「お父さんはタツルじゃないし、タツルもお父さんじゃない。つなげて考える必要はないと思うんですけど、やっぱり世間は父親が偉大だと『親の七光』だとか、考えがちじゃないですか」
──「2世」と言われることもあります。
「あくまでタツルは『斉藤立1世』であって、タツルにはタツルのやり方があるとは思います。ただ、タツルは結構考えちゃうタイプではあるので、2028年ロス五輪までの4年間で気持ちの持ち方であったり、本当に自分のために自分がどこを目指してやりたいかを考えれば、もっとも活躍できるというか、思い描いた自分になれるんじゃないかなって思います」