《摂津正の巻》監督とコーチの意見が対立した先発転向…突然水を向けられて、たまったものじゃなかった
「おふたりの意見を聞いて、秋山さんの考えもわかりますし、高山さんの思いもわかります。ただ、あくまで一個人の意見で言うなら……先発ですかね」
と、何とか言葉を絞り出しました。
摂津の活躍で、他球団のスカウトから感謝されたこともありました。摂津がプロ入りしたのは26歳。秋田経済法科大付高(現ノースアジア大明桜高)からJR東日本東北に入社し、8年間プレー。こうした選手がプロで活躍したことで、「これまでは年齢がそれなりの選手は球団に推薦しにくかったんですが、摂津のおかげで変わりました」と、ドラフトにも影響を与えました。
なにより、摂津が凄いのは、26歳でも「プロでやりたい」という気持ちを持ち続けられたことです。
普通、社会人の選手は24歳くらいまでに指名がなければ、「もうプロは諦めよう」となるものです。そのあたりは摂津の根性と自信でしょう。
僕と高校野球の話をしている時、「昔は理不尽な練習とかあったなあ」と話題になりました。すると摂津は「今の子は『なんでこの練習を?』とか、言いますからね。でも、僕はそれは違うと思う。僕は理不尽と思ってもやってきたんで、野球についてはそれなりの自負がありますから」と言ったものです。
同じ投手でいえば、僕が「素質だけならナンバーワン」だと思っていたのが、新垣渚です。