《内川聖一の巻》球界屈指の好打者が尻込みしたブーイングの中でのヒーローインタビュー
内川聖一
当時の日本球界を代表する安打製造機、それが内川聖一(42)です。
打撃技術は言うまでもなく超一流。イベントで小学生から「どうしたら、そんなにヒットを打てるんですか」と聞かれ、「簡単ですよ。誰もいないところを狙って打てばいいんですよ」と、サラリと言ったものです。
一塁に走者がいれば一、二塁間が空くーーなどは野球の常識ですが、内川はもっとレベルが高い。セオリーだけではなく、野手がどんなポジショニングをしているかを常に観察し、「じゃあ、ここに打とう」と決めて打席に入るそうです。もちろん、狙った箇所に打てる技術があってこそ、です。
穏やかそうに見えて性格は気が荒く、打てば上機嫌ですが、打てないと、はたから見てそれとわかるほど不機嫌になる。昔はこうしたタイプの選手は珍しくなかったのですが……。でも、2015年にキャプテンに就任し、「常に人に見られる」という意識が芽生えてからは、徐々に落ち着きが出てきました。キャプテン制はこの年に就任した工藤監督の肝いり。ただ、選手に通達する前にメディアにかぎつけられ、僕の元に記者から「書きますよ」と連絡があった。