消えゆくベーブ・ルース「日本初本塁打」のナゾ…地方の山奥球場で描いた120m級の特大アーチ
1934(昭和9)年11月2日、横浜埠頭に着いたエンプレス・オブ・ジャパン号から大柄な男が降り立った。
日米野球で来日したベーブ・ルースである。世紀のスラッガーにファンは興奮し、拍手と歓声で迎えた。
ルースといえばホームラン。謎がある。
「日本で第1号はどこで打ったのか」
ほとんど知られていない。初戦の神宮でも次の函館でも不発だった。仙台でやっと打った。仙台も市内ではなく、八木山(やぎやま)球場という山奥の球場だった。伊達政宗も驚く120メートル級のアーチだったという。30年ほど前、ルースを目撃したファンに「とても大きな人で大きなホームランだった」と聞いた。
ルースはそこで第1、2号を放った。現在、八木山球場は公園になっており、ルースが打ち込んだところに寂しく銅像が建っている。その歴史と銅像の存在をどれだけの野球ファンが知っているのだろう。ルースによってプロ野球が始まったのに、ルースの名前を使うことがあっても、日本球界は歴史を放りっぱなしにしているのはいかがなものか。