今度はオンカジ問題に揺れる“緩んだ”プロ野球界 新人研修制度がわずか2年で撤廃された理由
またか。今度はオンラインカジノ、ときた。大谷翔平の元通訳の事件が日本球界に飛び火してきた格好である。八百長試合、野球賭博、わいせつ行為……。振り返れば、プロ野球の不祥事がとどまるところを知らない。
かつて、新人選手を一定期間教育する厳しい新人研修制度があった。1963年に始まった制度で、開幕前に座学、公式戦は成年選手が開幕から50試合、未成年選手は同100試合出場できず、その間にさらに研修を受けるというものだった。
「少年たちが一番あこがれるのは大臣でもなく、学者、役人でもなく、プロ野球選手である」「品格、誇りを身につけた選手を教育するのが目的」「新人が深く考えることをなおざりにすれば敗北者の道を歩くことになる」ーー。これは、オフィシャルベースボールガイド(コミッショナー編纂)に掲載された表記で、現在の超短期研修より迫力があった。
この研修制度を提唱したのは第3代コミッショナーの内村祐之である。キリスト教思想家の内村鑑三を父に持ち、獨協中から旧制一高、東大に進んだ医学者で、左腕投手として一高時代は強豪の早稲田、慶応に勝ったスターだった。巨人V9の教書「ドジャースの戦法」を翻訳するなど野球を愛好していた。