大リーグ機構の国際戦略に選手会は複雑胸中…球団経営者の「選手年俸カット」の思惑見え隠れ
大リーグ機構にとって、6年ぶり6回目となる日本での公式戦の実施は大きな成功だった。
入場券の不正転売が横行する様子は、それだけ東京シリーズの注目度と需要が高いことを示していた。
日本のオープン戦に相当するプレシーズンゲームでさえテレビやラジオのスポーツコーナーの最初に取り上げられたり、これまで大リーグとの関わりが希薄だった高級百貨店が東京シリーズの関連商品を取り扱ったりしたことも、視聴者や聴取者、あるいは顧客の興味がどこにあるかを察知した結果だった。
話題性の高さと経済的な波及効果の大きさを考えれば、コミッショナーのロブ・マンフレッドが今回の収益をオールスター戦に匹敵する規模の3500万ドルであると発言し、大リーグ公式アカウントがSNSで「日本で最も視聴された大リーグの試合」と投稿するなど、東京シリーズの成功を強調するのも当然だろう。
何より、満員となった東京ドームで観客が大谷の一振りに大きな歓声を上げる映像は、過去30年間で市場規模が10倍以上に拡大しているとはいえ、テレビ視聴率だけでなく売上高でもNFLとの差が広がり続ける大リーグ機構にとって、力強いものだった。