<第2回>県大会入賞の陸上より野球を選んだ父・徹氏の矜持
大谷の父・徹(52)が育った岩手県北上市和賀町には、大手重化学工業の関連会社がある。「当時は人もたくさんいて、町全体が活気にあふれていた。まさに工場の町といった感じでした」と徹は振り返る。
徹の父、大谷の祖父である正幸(78)はその工場で働き、社宅に住んだ。徹は2人兄妹の長男として生まれた。
「父は技能職というか現場でした。趣味は多彩です。車の免許は大型とか、大型特殊とか、二種とか、クレーンとか、重機とか……免許という免許はみなもっています。運転が好きで、工場の中でバスやブルドーザーを運転したり、雪が多いのでユンボというパワーショベルのようなもので除雪作業をしたりもしていました。狩猟や釣りも好きで、(獲物を)仲間とさばいて、持って帰ってきた気がします。キジ、ウサギ、熊などは食べたことがあります。自然が好きというか、アウトドア派ですね。ひとりでできるのがいいと。一緒に遊んでもらった記憶は、あまりありません」
それでも野球は好きだった。工場内のレクリエーションでは野球をやった。徹に野球をやるように勧めたのも正幸だった。