万引で逮捕された通算350勝・米田哲也から直接聞いた幻の巨人移籍
米田のニックネームは「ガソリンタンク」。異常なタフさだった。その全盛時代に阪急監督として使った名将・藤本定義は後年、「剛球投手とは、米田のことをいう」と言っていた。
藤本は投手出身であり、巨人の第1期黄金時代に沢村栄治、ビクトル・スタルヒン、阪神監督時代に村山実、江夏豊を起用していたから投手を見る目は確かだった。
米田は「東京へ行く準備をしていた」。ストップをかけたのは誰か。
当時の阪急監督、西本幸雄だったそうである。日本シリーズでやられっぱなしの巨人に“給油”するわけにはいかないと考え直したのだろう。“幻の移籍”だった。
もし、米田が巨人に入っていたら彼の生き方は変わっていただろう。
当時の巨人に対するファンの目の厳しさは現在とは異なり、他球団の比ではなかった。V9戦士はみんな誇り高き男ばかりであり、人生設計をしっかり持っていた。