「関東連合」久田将義著
<いまどきのワル>
ヤクザに半グレ、アングラマネー。いまどきのワルの手口や実態を知ろう。
<「半グレ」より「全グレ」と呼ぶにふさわしい不良グループ>
警察の締め付け強化で組織暴力団が弱体化する一方、改正暴対法と暴力団排除条例のスキマを縫って急速に勢力を伸ばしたのが「半グレ」と呼ばれる新手の元不良少年グループ。その筆頭と目されるのが関東連合だ。市川海老蔵殴打事件や六本木の人違い殺人事件はいずれも関東連合関係者によるものとされる。もともと関東連合は70年代の暴走族。複数のチームがつるんで爆走するので「連合」となったらしい。
しかし現在の関東連合は再結成された別組織で、中核はブラックエンペラーと宮前愚連隊など杉並や世田谷の暴走族。山手育ちらしく頭が切れ、ケンカっ早く、相手を負かしたら徹底的なリンチを加え、素っ裸にして男同士でフェラチオをさせて写真を撮るなど、残忍で陰湿な暴力を振るう。とはいえ初代のメンバーは現在40代後半から50代初めぐらいで、もちろん多くが堅気になっている。
著者は裏社会情報満載の雑誌「実話ナックルズ」の元編集長。「半グレ」というあいまいな呼称より「全グレ」がふさわしいとする一方、AV業界や芸能界にも食い込む関東連合人脈は、まるで陰謀論の巨悪のように過大評価され過ぎともいう。
(筑摩書房 780円)