「光の王国 秀衡と西行」梓澤要著
■奇跡の王国を見た西行の想い
西行は、天皇の座を奪われた崇徳が母親の待賢門院を慰めるために始めた一品経供養の勧進のために内大臣藤原頼長を訪ねる。応じた頼長は、西行に交換条件として、奥州へ赴き、平泉の動向を探ってくるよう依頼する。頼長は、摂関家の荘園の国司を束ね支配する平泉の藤原基衡の横暴に我慢がならないようだ。約束を果たすため、白河にたどり着いた西行は、そこから始まる整備された奥大道の立派さに目を見張る。聞けば、道は北の果て津軽にまで通じているという。平泉に入った西行は、狩りをしていた基衡の息子・秀衡と出会い、勧められるまま館に逗留することに。
秀衡と西行を主人公に描く時代長編。
(文藝春秋 1900円)