「午前32時の能年玲奈」中森明夫著
■「あまちゃん」能年玲奈論
かつて中上健次に文学を志すよう勧められたというアイドル評論家による文学論集。
ペルーのノーベル文学賞作家、マリオ・バルガス・リョサの「チボの狂宴」の中で見つけた伏せ字表記に関するツイッター顛末(てんまつ)記、86年に首つり自殺した鈴木いづみの作品などを論じる読書日記、友人でもあった社会学者・宮台真司に関する批評など。幅広い知識と深い洞察からさまざまな作品、作者を論じる。さらに「私にとって文学はアイドルだし、アイドルは文学」とも語り、表題作では、アイドルの歴史を総括して、朝ドラのヒロインだった能年玲奈を取り上げ、この人気ドラマがアイドルの未来にとってどのような意味を持つかを論じる。
(河出書房新社 2000円)