『「闇学」入門 』中野純氏

公開日: 更新日:

■「自分が闇に溶け込んでいくような擬死体験の後の夜明けは格別です」

「夜の山歩きの魅力は、何といっても五感がフル活動することです。真っ暗な闇では、虫の歩く音から遠くの滝の音まで360度から音が聞こえてくる。風や雨の匂いもハッキリとわかり、足の裏で道を感じることが出来ます。それに自分が闇に溶け込んでいくような一種の擬死体験をした後に見る夜明けのすがすがしさは格別。一度体験したら、やめられませんね」

 昼夜問わず、明るい光の下で暮らし、「闇」とは無縁になった現代人。しかし、かつて日本人が愛してやまなかったという「闇」を、風俗、文学などさまざまな視点から考察した“闇”本である。

 著者はナイトハイク20年の達人。これまで1000以上の夜山を歩いてきた。
「ある初夏の日、高尾からの終電に乗り損ね、時間つぶしに近くの低山に登ったんです。思いのほか闇が深く後悔したんですが、目が慣れてくるとそこに広がる昼間とは別世界の、幻想的なモノクロの景色に驚きました。そして日が昇った瞬間、まるで魔法がとけるように周囲の景色がカラーになった。世界が光に征服されたかのようで、一気に魅了されましたね。しかも徹夜なのに心身共にスッキリ。闇に親しむようになって、ストレスとは無縁になりました」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…