「落語と川柳」長井好弘著
■川柳は過去ワープの「特急列車」
落語と川柳の切っても切れない関係をうんちくとともにつづった落語本。昭和5年、川柳作家の坊野寿山の呼びかけで、4代目小さんや5代目円生ら10余人の噺家が集まり、川柳会「鹿連会」が発足。自然消滅した会は、戦後、6代目円生が幹事役となり復活し、後続の句会も続々と誕生したという。鹿連会に足しげく通った8代目文楽など、会の噺家らがつくった川柳と彼らにまつわるエピソードを紹介。川柳は噺家にとって、客をあっという間に江戸や明治へワープさせることのできる「特急列車」だと著者はいう。落語の中に登場する川柳や、古川柳に導かれ江戸や明治の情緒が残る東京散歩など、さまざまな趣向で、両者の関係を解き明かしていく。
(白水社 2300円)