「歴史に学ぶな」鈴木邦男著
■「歴史に学ぶ」ことの危うさ
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という名言に異を唱え、歴史や史実を建前に思考停止に陥ることの危険さを説いたエッセー。
織田信長や坂本龍馬、土方歳三など、現代人に愛される偉人たちは、司馬遼太郎の小説などがつくり上げたイメージに共感をしているだけで、その実像とはかけ離れ、多くの人は、歴史に学ぶと言いながら実は虚構に学んでいると指摘。右翼活動に人生をかけていた自らの体験を語りながら、歴史に学ぶという大義名分を振りかざし、戦争や暴力を肯定する歴史観を抱くことの危険性や、真の愛国者とはどういうことかなどを説く。時代の風潮を危惧した警世の書。
(dZERO 1500円)