「検証・法治国家崩壊」吉田敏浩氏
異例のスピード審査で59年12月に出された最高裁判決は、伊達判決を破棄、米軍駐留は合憲だとした。アメリカの干渉にすすんで譲歩する日本の政治家や最高裁長官の言説には驚かされる。
「この判決以後、米軍の活動に日本政府の主権が及ばない状態が、ますますひどくなっていきます。米軍機の低空飛行による騒音、墜落事故が起きても、基地から有害物質が流されても、司法は救済できません。国民の人権が脅かされているのに、アメリカは日本の基地を自由に使い、日本の財政を使って、ベトナム戦争や湾岸戦争に出撃していったのです」
今回、安倍政権は集団的自衛権の根拠に砂川事件の最高裁判決を持ち出しているが、同判決も集団的自衛権も、共にアメリカの要請によるものであるのは明白だ。
「日本の司法の独立性と信頼を取り戻すためにも、アメリカ公文書に対応する日本側の資料を公開するべきです。そして、真の独立国といえない状態でいいのか、日本人一人一人が考えなければいけないと思います」
(新原昭治、末浪靖司共著 創元社 1500円)