「認知症はこわくない」高橋幸男著
認知症はとても怖い病気だと、誰もが思っていることだろう。この“怖い”の要因のひとつは、徘徊、興奮、暴力といった「BPSD(行動・心理症状)」が起こるためではないだろうか。
認知症は脳の障害であるため、その結果としてBPSDが起こるものと考えられてきた。しかし、30年以上医師として認知症患者と向き合ってきた著者は、そのほとんどは周囲との関係性によって起こるものだと説いている。BPSDは、認知症患者が“嫌な思い”をするから起こるもの。そこで、患者のペースに合わせて、笑顔をつくり、昔の話をし、同じ会話でも根気よく耳を傾けるのだ。
本書では、このような取り組みでBPSDが起こらなくなった患者の例を数多く紹介していく。
(NHK出版 1200円)