新選組の無名隊士を描いた短編集を上梓 小松エメル氏に聞く
中学生のころから新選組が好きだったという著者。並の歴女ならヒーローには沖田総司あたりを選ぶところだが、今作「夢の燈影」の主人公に選んだのは、思わず「WHO IS HE?」と聞きたくなる無名の隊士たちだ。
明治人情妖怪譚「一鬼夜行」シリーズで知られる著者がそもそも作家の道を選んだのは、新選組がきっかけだったという。
「新選組が好きで、図書館で調べたりしていたんです。それで新選組の本を書きたくなって。高3の夏に美大に進むつもりだったのを変更して史学科にしたくらい好きだったんです」
作家になり、日頃から新選組を書きたいと周囲にアピールしていたら、編集部から勧められて、チャレンジすることに。
「そのときは、もう来たか、と思いました(笑い)」
それにしてもなぜ、無名の隊士なのか?
「沖田総司が好きだったんですが、司馬遼太郎さんの『燃えよ剣』などでイメージが浸透しているので、違うところに焦点を当ててみたいと考えました。目的に向かって邁進して大活躍する隊士がいる一方で、他の隊士は何をしていたのかなと。新選組という組織は好きだけど、内部が見えてこない。それで、400人くらいの隊士の中から、隊内の序列や役職などでひっかかりを覚えた人を選びました」