「消えた名画」大友義博監修
盗難などで表舞台から姿を消した傑作絵画と、それぞれの名画がたどった数奇の物語を紹介するアート本。
1990年に史上最大といわれる美術品窃盗事件がアメリカのボストンで発生。犯人の2人組は、市警になりすましてイザベラ・スチュワート・ガードナー美術館の正面入り口から堂々と館内に入り、警備員を監禁して13点もの美術品を盗み出した。その中のひとつがフェルメールの「合奏」だった。フェルメール作品は、世界でわずか三十数点しか確認されておらず、同作品の市場価値は1億ドルとも2億ドルともいわれている。同美術館では、盗まれた絵が飾られていた場所に空の額縁だけが置かれ、今もその帰還を待っている。
最近では2012年にオランダ・ロッテルダムのクンストハル美術館で、展示中だったゴーギャンの「開いた窓の前の女」など著名画家の作品ばかり7点が盗まれた。犯人は捕まったものの、作品は暖炉で燃やされた可能性が高いという。
そうした二度とお目にかかれない(かもしれない)作品を紙上で鑑賞する。
盗難に遭いながらも戻ってきた作品もある。