「ゆとり世代の愛国心」税所篤快氏
取材を申し込むと、バングラデシュからメールが来た。数日後、アフリカ北東部の未承認国ソマリランドから電話が来た。世界を股にかける25歳なのだ。
「大学の無味乾燥な授業に失望した頃、ちょうど社会起業家がブームでした。そこで、足立区の教育格差を打破する無料塾を試みて失敗、次は六本木ヒルズ内の企業の出資でチョコレート事業を始めようとしたらリーマン・ショックで頓挫。しかも彼女に振られた最低のメンタル状態のとき、グラミン銀行の本に出合ってしまったんです。いきなりバングラデシュに出かけて、僕の人生が動き出しました」
貧しい子どもたちに、映像授業で教育の機会を与え、ダッカ大学に合格させる事業を立ち上げた。自分の数学テストが2点で、予備校・東進ハイスクールのDVD授業で早稲田に合格した体験を活用して成功。その後、ルワンダ、ヨルダン、ハンガリーなど5大陸に展開する過程で、日本の奇跡が見えてきた。
「僕ら『ゆとり世代』は、謝罪記者会見のブザマな大人を見て育ち、日本はダメな国だと感じてました。ところが海外で日本人だというと、尊敬や憧れのまなざしで見られるんです。日本製品のせいかと思いましたが、その土地で仕事をした日本人の礼儀正しさ、丁寧さのおかげだったんです。『日本すげえ! 日本のレベルやばい! これをつくりあげてきた先輩たち超尊敬!』って思っちゃいましたね」