「TV大人の視聴」吉田潮著
「週刊新潮」の人気連載「TVふうーん録」が初めて単行本化した。連載では番組や作品ごとにスポットをあてているが、書籍化にあたりテーマを人物に変更。取り上げられているのはタレントから政治家、一般人まで様々だ。
40代の著者はいわゆる「テレビっ子世代」で、今も時間の許す限りテレビにかじりついているという。ドラマやバラエティー、情報番組にいたるまで主要番組をほぼ視聴。本書で「何でもアリの『テレビ黄金期』を観て育ったものですから、今の優等生的な、空気を読みすぎるテレビにイチャモンつけたくもなります」と断りが入っているように、テレビに感じる「もやもや」「イライラ」を遠慮なく斬っている。
国民的ドラマに化けた「あまちゃん」「半沢直樹」を始めとした大ヒット作はもちろんのこと、見逃しがちな深夜枠もフォロー。リアルタイムで見た人も見ていない人も、思わずニヤリとする内容だ。
テレビ評の味わいもさることながら、作品ごとに添えられたイラストもいい。何とも言えない味のあるタッチが脳裏に残り、後を引き、癖になる。「心は媚びない特上ビッチ ナイスキャスト」というキャプションでイラスト化されたタレントがその後、週刊誌でスキャンダラスな私生活を暴露されたり…。芸能人の濃密な内面は、ドラマやカメラというフィルターを通しても、にじみ出てしまうのかもしれない。そういう視点で読んでも面白い。