「日本の山 究極の絶景ガイド」西田省三写真・文
いまや世代や性別を超えて国民的ブームの様相を呈している山登り。本書は、新年を迎え、今年の山行計画を練っている人にお薦めのビジュアルガイドブック。山頂を極めるのを目的とした山登りとは一線を画し、のんびりと風景を楽しむ山登りの魅力を伝える。
山での花との出合いを求める人に、とにかく迷わずここを歩いてほしいと著者イチオシの山は、北海道大雪山系の白雲岳を経由して化雲岳へと至るコース。
目的地の化雲岳から南に10分ほど歩いたヒサゴ沼分岐の手前にはチングルマが敷き詰められたように咲く「神遊びの庭」と呼ばれるお花畑が広がり、奥に名峰トムラウシ山を望む。果てしなく広がる天界の壮大な景観と、お花畑、そして名峰の三拍子そろったこの場所では、他の追随を許さぬ自然が織りなす奇跡のような風景と一体になれる。
紅葉の絶景地としてお薦めなのは、北アルプスの「池ノ平」。池ノ平山からのびる尾根は錦秋に彩られ、その向こうに日本を代表する岩の殿堂・剱岳の荒々しい八ツ峰の鋭峰群が構える。その美と雄のコンビネーションは、有名な「涸沢カール」に勝るとも劣らぬが、たどり着くための距離が長く、4日の行程が必要だ。