「認知症になった私が伝えたいこと」佐藤雅彦著
元中学校教員の著者は、51歳で認知症と診断された。本書は、10年以上にわたり著者自身が書き留めてきたメモなどをもとに構成されており、認知症当事者のリアルな生活の様子を垣間見ることができる。
朝目覚めて一番の不安は、その日に何をしていいのか思い出せないことだという。
当初は手帳に書いていたが、それを捜そうとしても見つけられないことも増えてくる。そこで活用したのが、パソコンのスケジュール管理ソフト。曜日が分からなくなっても自動で表示されるので、重宝したという。毎日使う電子機器は、定時にアラームが鳴るようにすることで、捜す手間を省くことができたそうだ。
認知症になっても、工夫次第で快適に暮らせるという希望を与えてくれる。
(大月書店 1600円+税)