「メガバンク絶滅戦争」波多野聖著
物語の舞台は、東西帝都EFJ銀行。帝都グループの要である帝都銀行、外国為替専門の国策銀行を出自とした東西銀行、関西を地盤に全国展開していた大栄銀行と中部地方を基盤とする中京銀行が合併して出来たEFJ銀行が、金融庁主導でさらに合併して誕生したメガバンクだ。合併以来、帝都銀行がその主導権を握り、EFJ出身者は地方や子会社へ次々と飛ばされるなか、二瓶正平はEFJ出身者でありながら本店総務部内で生き残っていた。
しかし上層部の判断で極秘に行われた5兆円40年債という超長期国債の購入と、その1週間後に起こった日本国債の暴落で破綻の危機に陥った銀行内で、修羅場の経験を買われて思わぬ抜擢を受ける。生き残りをかけて伝説的為替・債券ディーラー桂光義と共に、虎視眈々と買収を狙う外資ファンドや、米国の意のままに動く官僚に立ち向かうのだが……。
国債暴落を発端としたメガバンク買収合戦を描いた経済エンターテインメント小説。野村投資顧問、クレディ・スイス投資顧問などで投資運用業務に携わった著者ならではのリアリティーが、読み手をぞくりとさせる。