「境界の民」安田峰俊氏
「少数者である『異境の民』に対する日本人の視線って、すごく単純です。『かわいそうな人たち』と同情するか、『親日な人たち』として持ち上げるか。しかも、ぼくたちより貧しく遅れていて劣っているという潜在意識があって、相手を見下している。哀れみは上から目線ですし、ウイグルや台湾を親日派として支援するのは、日本の植民地時代や靖国問題を肯定してくれるから。要するに、自分の都合のいいように彼らを解釈して、利用してるんですね」
では、身近に存在する異境の民とどう付き合えばいいのか。意識し過ぎてもダメだし、日本語が流暢だからと相手のルーツを忘れてしまってもいけない。距離感が難しい。さらに、ISILもクリミアもスコットランドも、世界の重大ニュースは、境界の民が鍵になっている。
「少数者や境界の視点を知ることで、判断の幅が広がります。疑似体験、ケーススタディーとして、ぜひ読んでください」
(KADOKAWA 1700円+税)
▽やすだ みねとし 1982年滋賀県生まれ。立命館大学卒。広島大学大学院修士課程修了。広東省深圳大学に交換留学。ノンフィクション作家。著書「和僑-農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人」「中国人のリアル」「知中論」ほか。