「若者はなぜ『決めつける』のか」長山靖生氏
「どうせ、変わらない」「僕らの世代は損をしている」――。若者のそんなネガティブな言動の背景には、理由があると著者はいう。
「どの世代も、いろいろな“決めつけ”をするものです。なかでも、ゆとり世代のそれはネガティブで、度合いも重いものです。バブルを経験した40代半ばまではダメだといいながらも『もしかすると』という淡い期待が残っている。しかし、不況の中で育ち、バブルが戦争と同じように歴史上の出来事にしか捉えられない若者は、経済も自分たちを取り巻く環境も良くならないことを前提に物事を考えているんです」
若者を“決めつけ”に走らせた要因には就職難、結局は同意見を反復するだけのネット社会とのつながりなど複数あるが、根底にあるのが世の中に蔓延する「決断主義」だ。01年、小泉政権が誕生。それまでの10年、出口の見えない不景気の中で人々は、待っていれば誰かがどうにかしてくれるだろうという期待をしていたが、何も変わらなかった。
そこへ小泉が登場し、問題の単純化や二者択一を迫る手法を披露。やがて世の中は、時流に乗せられ、一気に「決断主義」へと進んでいく。