古典を現代語訳で読む特集
13の視点から源氏物語を楽しむヒントを紹介。現代語訳にして10巻の全巻読破に挑む前に、まずはそのエッセンスを味わうための入門編としておすすめ。
(祥伝社 1700円+税)
■「すらすら読める奥の細道」立松和平著
月日は百代の過客にして、行きかふ年も又旅人なり――古文の授業で暗記させられた冒頭の有名な書き出しが、いまだに頭から離れない人も多いのではないだろうか。
俳聖と呼ばれた芭蕉(1644~94)の紀行文「奥の細道」を自らも旅に生きた作家が現代語訳した本書は、忠実な現代訳に加え、1章ごとに作品の主題について思索を深める訳者のエッセーが添えられ、より作品への理解を助けてくれる。
何物をも所有せず、「言葉」だけを手に、旅をすみかとし、旅に生きて死ぬ「捨身行脚の生き方」を貫いた芭蕉。そのやむにやまれずに出かけた旅の記録は、学生時代とはまた違った感慨を読者に抱かせてくれるに違いない。
(講談社 1600円+税)