古典を現代語訳で読む特集
■「新訳 説経節」伊藤比呂美著
中世、庶民の間で広まった語りの芸能「説経節」に惚れ込んだ詩人による現代語訳。
都の公家や殿上人の中でもひときわ名高い二条の大納言兼家に待望の世継ぎが誕生。18歳で元服し、常陸小栗と名乗る若君は、わがままで、迎えた妻に難癖をつけて次々と送り返す。そんな中、小栗を見初め、姫に変身した大蛇と夜な夜な契っていることが噂になり、母方の所領がある常陸に流されてしまう。ある日、小栗は行商人の左衛門から絶世の美女・照手の姫の噂を聞き仲人を頼む。左衛門は小栗が書いた渾身の手紙を、照手の姫に届けようと一計を案じる。(「小栗判官」)
ほかに、説経節の代表作「しんとく丸」と「山椒大夫」の計3編を収録。
(平凡社 1700円+税)